長時間立っていたり、長時間座っていて急に立ち上がった時に目の前がまっくらになってくらくらすること、排便後ふらっとよろめいたこと、そんな経験ありませんか?
そんな時「自分は貧血気味なんだ・・・」で片づけていませんか?
これは「貧血」ではなく「脳貧血」かもしれません。
健康診断で貧血の項目にチェックは入っていないのに、こういう症状を経験したことがあるあなたは、脳貧血の可能性があるかもしれません。
貧血よりむしろもっと大勢の人が可能性のある脳貧血、どんな人がなりやすいのか?兆候などがあるのか?
いったい脳貧血ってどんなものなのでしょう?
Contents
脳貧血って一体どんなもの?普通の貧血と違うの?
ここで、少し貧血と脳貧血の違いを説明しておきましょう。
貧血
血液中の赤血球数、ヘモグロビン量が減少した状態で、WHOの基準では、ヘモグロビン値が男性13g/dl以下、女性12g/dl以下、妊婦で11g/dl以下を「貧血」とすると示されています。
ヘモグロビンは身体に酸素を運搬する働きがあります。ヘモグロビン数が減ることで、身体のすみずみに必要な酸素や栄養が供給されず慢性的酸欠状態が持続することになります。
ちょっとした活動ですぐに動悸や息切れが起きたり、血流が悪いことから血色が悪く、顔色が青白かったりといったことが貧血の典型的な症状です。
脳貧血
横になった状態から急に起き上がった時や立ち上がった時、急な痛みを感じたり圧がかかった時などに、一時的に20mmHg程度血圧が下がることで起こるめまいや冷や汗、ふらつき、ひどい場合は意識消失などの症状が起きることを言います。
脳に必要十分な血液が送られないとき、つまり脳の酸欠が起きた状態とイメージしてください。
正確には「起立性低血圧」と言って、椅子に座ったり横になるなど安静な状態で計測した際は適正血圧であるにも関わらず、急に起き上がることや、立ち上がった時に一気に血圧が下がり先に述べたような症状が起きてきます。
一般的に言う「貧血」の症状と似ていることから、それと間違えて認識されることが多いですが、少し異なります。
また、血圧測定する際は安静時に計測するので、その場合は適正値が出ることから、血圧異常のチェックが入ることもなく貧血や低血圧などの項目で「異常」「要検査」といった診断がつかないことも見落とされやすい点です。
身体全体の酸欠状態か、脳の酸欠状態といった点が大きな相違点になります。
どうして脳貧血が起きるの?大きな病気?!
長時間座位(座っていること)を維持していたり、横になっていると血液が下肢に貯留しますが、急に身体を起こしても一気に上体に血液が行くことが難しく、血圧が下がることが原因となっています。
液体は下に降りやすく上に行きにくい・・・ということですね。
また、通常起き上がると心臓をしっかり活動させ、血圧を正常値でキープしようとするのですが、それがうまくできないことで起こります。
迷走神経というのは、心臓や血管の働きの調節を行う神経の一つですが、強い痛みが生じたり圧がかかるなどストレスがかかることで神経を刺激されると、血流を調整し心拍数を下げるなどしてストレスに対応しようと働きかけます。
つまり、脳貧血は物理的なことや、神経の体の防衛反応が原因となっているということなのです。
ある程度やむを得ない症状とも言えますね。
他人事ではないかも?!こんな人は脳貧血になりやすい!
脳に酸素がうまく供給されない・・・と記載すると、なんだかすごく大ごとのような感じもしますし、失神することもあるとなるとなんだか大きな病気で、一部の人だけに起こることのように思われがちですが、意外と脳貧血は身近です。
以下に脳貧血になりやすい人、状況などについて示します。
思春期の学生
思春期は身体やメンタルの成長期にあり、ちょっとしたストレスから自律神経のバランスが乱れやすい時期です。
なんとなくすっきりしない、朝寝覚めが悪い、お腹が痛いといった不定愁訴(明確な症状や痛みの訴えではなく、なんとなくすっきりしないといった症状の訴え)が多い場合自律神経失調症の可能性があります。
自律神経は血圧を調整する作用があるので、自律神経がうまくコントロールできないことと合わせて血圧の調整がうまくできず、脳までうまく血液を届けることが難しくなります。
脱水気味
身体が脱水状態になると体液量が減少することや、血液が濃くなることで血流が悪くなり脳までうまく送ることができなくなります。
激しい運動後や暑い季節など、状況によっては脳貧血が起こりやすくなります。
利尿薬・血圧降下薬を服用中の人
利尿薬を使用することで体が脱水になり、血流が悪くなることも一因です。
当然血圧が急激に下がることで起こる起立性低血圧なので、血圧降下薬を服用中の方は注意が必要です。
介護度が高い人
長期に渡る寝たきり生活の人や、体力、筋力低下している高齢者が、急に起き上がった際や、下痢、便秘などで腹圧がかかった際など結構な頻度で起こりやすいです。
加齢とともに心臓の働きが弱くなってくれば当然とも言えます。
筋肉が少ない人
血管を押し出すのに筋肉も重要な働きを担います。
特に下肢(下半身)から心臓に押し戻す血流は下腿の筋肉がある人のほうが戻りやすいです。
筋力低下のケースなどでは、上体に血液が戻りにくく、脳への供給が遅れがちで脳貧血を起こしやすいです。
いかがでしょう?当てはまる項目があったのではないでしょうか?
脳貧血、決っして他人事ではないですよね。
見逃さないで!脳貧血の症状や特徴、サイン
脳貧血の主な症状としては、めまい、ふらつき、頭痛、手足のしびれといったことが上げられますが、それ以外にもあります。
ひどくなると、錯乱、複視(ものが二重に見えること)、視野狭窄(視界が狭くなること)、けいれん、失神、意識障害といったことが起きてきます。
これは脳貧血の症状ですが、このような重篤な症状が起こる前の兆候があります。
失神する前にあくびや冷や汗や動悸、吐き気といったサインを身体が出していることが特徴です。
あくびが出るのは睡眠不足からくるものだろう・・・と見逃しがちですが、脳貧血を起こす前のSOSのこともあります。
あくび、めまい、冷や汗、動悸など一見すると脳貧血と思わずスルーされがちな症状ですが、そのサインにいち早く気付けるようにすることが大切です。
次に脳貧血を起こさないための予防や対策、そして起こってしまった場合の対処について説明します。
脳貧血の6つの対策
長時間の立ちっぱなしを予防
普段から立ちくらみを起こしやすい人は、長時間立っていることがないよう、適宜座ることや、頭を下げるなどして事前に対策をとることがベストです。
脳貧血自体は疾患とは異なるので、症状が改善すれば問題ありませんが、失神して倒れた際に頭部をぶつけるのは大変危険です。
着圧ソックスやタイツなどの利用
血液が上に返りやすいよう、着圧ソックスや着圧タイツなどの着用は効果的です。
下半身を鍛えよう
下肢を鍛えることで、血流が良くなります。
日常的に下半身を鍛えるストレッチを組み込むことや、ウォーキングなどで筋力低下を予防しましょう。
こまめな水分補給を
水分をしっかり摂ることで、血液濃度が濃くならないようにします。
1日1.5リットル程度を目安に飲むよう意識しましょう。
ストレス発散
自律神経失調症の診断がついている場合、ストレスはより自律神経の働きを乱す元となります。
趣味を見つけることや、上手にストレス発散をするようにしましょう。
それでも脳貧血を起こしてしまったら
脳貧血は、脳に必要な血液が供給されずに起こる症状なので、頭のほうに血液がいくように、頭を下にする、体を横にする、しゃがむといったことで速やかに改善されます。
まとめ~決して特別なことではない!日々の生活を見直すことで脳貧血対策!!~
このように脳貧血は特別な病気ではありません。
また、成長とともに症状が軽減されることや消失するケースもありますし、逆に加齢と共に症状が出やすくなることもあります。
決して特別なものとして受け止めず、日々の生活に気を付け、予防と対策をとるようにしましょう。